Project Eveについて 20121220 YUKI
今回、Eveの公開において、いろいろ考え商用利用を主目的としました
これは、前作T98シリーズと真逆の選択です

誤解されている方も居るかと思いますので、YUKIのポリシーを理解していただこうと思います


YUKIが生きる為に
ライセンス発行管理サーバーはYUKIの管理下にあり、売れた本数分を徴収するシステムとなっております
YUKIが商社に騙されて商用化したのではという憶測がみられ、技術者冷遇について心配される方もおるかと思いますので、YUKIからの商用提案である旨を記しておきます
ちなみに、どろっぷすの取締役は、17年前から付きあっているエロゲー仲間です(滝汗
のっけから金の話で卑しいようですが、人の命は有限時間であり、その時間を金に換えながら生きなければなりません

逆接すれば、せっかく命を削り作った時間ですから徹底的にやりたいものですね


やりたいこと
まず、そのやりたいことについて、正確に記します
昔流行った言い方をすると「エロゲー補完計画」とでも言いますか
すべてのエロゲーを全人類で共有する、これぞ補完計画

アフォのようですねぇ

真面目に分解すると、
 エロゲーを集められるだけ集める
 ネットから利用可能な状態にする
 いつでも、だれでも、どこでも、どれでも、遊べる状況にする
 それはすなわち、全人類が皆、全タイトルを所有しているのと同義である
 これこそが、補完計画

まぁ、だんだんオカシくなってきましたが、大筋であってます(おぃ


可用性
面白いシナリオを一つ挙げます

「これ、15年前にプレイしたxxじゃん、懐かしいなぁ」
「お気に入りのxxをとりあえず1週クリアするか、そういや、PC買い替えて入れてないわ」
こういう時どうしますか?

自分でタイトルを保持していていても、面倒です
まず、10年も前のCD-ROMを探します、実家の倉庫とかかもしれません
いつのまにか親が捨てたとか最悪ですね・・・

さて、何とか見つかったらインストール、Windows7or8で動けばマァいいです
動かなければ仮想PCでXP?2k?
そしたら、OSのインストールが必要ですねぇ
XPモードはプロのみですし、XPのCDが必要です、もちろんライセンスも必要です
アクティベーションに、電話をすることになります(笑

で、ゲームがやっと動いたと思ったら、CD−ROMを入れてくださいとか・・・
ウルトラブックにCDつけっぱなしとか、エェェェー!
んじゃ吸い出しますか
個人利用のiso化ならいいんかな?どうかな?

とりあえず、面倒さこの上ないです

もちろん、準備自体が娯楽ともいえるかもしれませんが、それは「時代を楽しむ」のであり、「コンテンツを楽しむ」とは違うマニアックな楽しみ方でしょう
YUKI的には、もちろん理解できるどころか、むしろそっち派ですが、あくまで一般の大多数の方を対象と考えます

前述通り、PCで復活させるのでさえ、この手間なのですから、Android版など非常に遠いです
ONScripter等、移植ツールもありますので、適合ゲームであれば、既にPC版を購入済である前提で、ツールを駆使しAndroidで動かす事が出来るでしょう
Eveもフリーウエアとして公開されていたなら、期待の新移植システムとして、ここに区分されたかもしれません
しかしながら、ツールの使い方はいずれも難しく、調整もシビアであり、製作者の意図通りな完全な演出は、なかなか難しいものです
もちろん、これらの作業には、高いスキルと手間、そして時間を要します
問題はさらにあり、ソフトのライセンス的にもPC以外のプラットホームで勝手に作動させていいのでしょうか?

「コンテンツを楽しむ」ためだけと考えれば、スキル、元のPC版ソフト、ツールの適合、すべてベストに持ち合わせていたとしても、1000円払い買い直すほうが安く済むことでしょう
どろっぷすでの配信は、クリアまで作動することを確認しリリースしていますし、当然権利者の許諾も得ており、売り上げから決められたパーセンテージを還元しています

当たり前ですが、他人に勧めるときも、URLをメールで送るだけです

1000円という金額は、娯楽代としては安価な部類と考えています
安い飲み屋でも2000〜3000円もかかりますし、映画なら1500円です、クレーンゲームでも1000円分くらいすぐ使いますよね
もともとPCのフルプライスゲームが主体ですから、たった1000円でも、内容は濃いものが多いです
アリスのシミュレーションとかだと、やり込まなくても100時間は堅いですよ
YUKIはB級クxゲーがわりと好きなのですが、8800円だと結構キますね(笑
1000円なら「アイタタタ」と思いつつ、純粋に楽しめそうです(滝汗

このように、環境整備やインストール作業ではなく純粋にコンテンツを楽しむという、正しい楽しみ方が出来るように、環境を作り上げていきたいです


胸を張って遊ぼう
20年前、「同級生」「キャンキャンバニー」「あゆみちゃん物語」等、初めてプレイして言葉にできない衝撃と感動を得ました
末期には「YU-NO」等の名作などにより、一時代としてのサブカルが幕を閉じたのです

時代は、PC98の新規販売もなくなり、どんどんPC-ATへ入れ替わっていく過渡期でした
青春時代の形をそのまま後世へ引き継ぐために、エミュレータの開発を決意しました

紆余曲折あり、数年の歳月を経て、同志の協力も得られ素晴らしいPC98エミュレータを作りあげました
新しめのエロゲーはほぼすべて完璧に動く、高品質なエミュレータが作れたと自負しています
少なくとも、YUKIが所有しているPC98のエロゲーを完全に保存することには成功しました
いつでも、手元で自由に遊ぶことができ、目的は100%達成したと満足しました

しかしながら、開発完了から数年たち、改めて考えると、これはとても自己本位であり、真の意味で「98のエロゲー文化を保存する」という目的は、失敗をしていると気づきました

単純な話ですが、楽しさは、他人に伝え、共感したくなります
オタ的にはデフォ性質ですが、一般にも広く通用する性質でしょう

「YU-NOが面白い!」
これを伝えることは非常に困難だと、気づきました
「面白いから皆遊んでほしい!」と、違法コピーを配布するわけにはいきませんし、ひとに買わせるのも、遊ぶ環境を準備するのも、極めて困難です

結果、
「YU-NOが面白い!」
を大声で言っても、誰も聞いておらず、共感できるのは一部の古い人だけです
違法コピーをプレイした人は、ものすごく不幸であり、他人にその素晴らしさを語ることはおろか、犯罪者として陰に生きなければならないのです

なかでも、エロゲーオタとして一番悲しいのは、皆で「YU-NOが面白い!」を体験し、共感し、盛り上がることができる機会を、失わせてしまったことです

これに気づいてからというもの、レトロエロゲーを真に楽しめる世界を作るにはどうするべきか、常に悩んでいました

昨今、おたく文化も市民性を得つつあります
古くても、不朽の名作は誰しもが楽しめます
胸を張って遊んで、みなで共感したいものです


ビジネスと娯楽の正常化
悩んだ挙句の結論は、「正式に権利者からライセンスを取得し安価に再配布する」です

フリーでいろいろ手に入る時代に、「商用即悪」という風潮もあり、風当たりが強いことに、覚悟が必要でした
共同開発者であるDiracさんも、YUKIには否定的な意見でした

T98の時のように、フリー版のリリースを重ねて、テストプレイを喜んで実行してくれる支援者と交流し、ともに製品を作り上げていくのは、とてもエキサイティングで楽しい事だと知っています
でも、それでは、その瞬間に参加しているメンバーだけで、一時的な快感を求める、まさにオナニー行為に他なりません

話を戻します

当然の事ですが、コンテンツ消費という娯楽の形において、コンテンツの権利者、ひいては、コンテンツ制作者は、制作に大きな費用が掛かっています
それを、きちんとした形で消費者から回収し、製作者へ還元していく仕組みが不可欠でしょう
購入する人が1人で、コピーする人が9人、だから、10倍の値段で売るとか、キチガイも極みます
誤解なきよう書きますが、メーカーではなくIT業界自体のライセンスの認識がキチガイです

現在は、常時オンラインが可能な端末のクラウドライセンス管理時代により、利用者に正確に課金できる仕組みが、不正コピーをなくし正常化を支えています

価格に関しては、開設費用もかかり1000円からのスタートとなりましたが、今後採算性や、コンテンツあたりの収率が十分になれば、価格を下げることができるでしょう


保存性
Eveが気になる方は、すでにご存じのとおりですが、どろっぷすの移植物は全てシミュレータ上で作動させており、Windows版の元EXEファイルを変更することなく、そのまま利用しています

ここでは、VA社が現在GooglePlayで発売中のKanon等、リニューアル作品は、あえて「移植」ではなく「新作」として扱います
狭義的に「移植」とは、そのまま製品化することと、扱います

これらの区分での、「移植」としては、他にもやり方はあります
ONScripterやAliceSystemのような、各種スクリプター自体をAndroidに移植し、データをそのまま使う手段です
一部の対応ソフトでは有効な手段かもしれませんが、細かいスクリプトエンジン仕様のバージョン違いや、カスタマイズエフェクトなど、互換性に関する問題が多く、不再現や表示異常など、細かな問題を抱えていることが少なくありません

これらを見ていたYUKIは、すべてのタイトルで完璧な再現を求めるには、そのワンランク外のレイヤーであるWindowsAPIレベルをシミュレーションする必要があると、かねてより考えていました
しかしながら、この手段は、最大のトレードオフとして、パフォーマンスの問題があります
移植元のX86アーキテクチャの実行コードを、インタプリタ式に仮想化したソフトウエアCPUで実行する為、速度が非常に遅いのです

ですが、時代は来たと考えており、全く心配していません
プロセッサの進化は早く、なにもしなくても、数年という近い未来には解決するからです
そのあとに待つのは、パフォーマンス競争ではなく、絶対的な再現度と対応範囲の戦いでしょう

さらに、Eveは機種の依存をなるべく減らすよう、抽象化しながらコードを記述しています
すなわち、先日デモをお見せしたとおり、iOSへも簡単に移植することができるのです

※まぁ、ジョブズ氏が、「ポルノがほしければAndroidを使えばいい」と豪語しておりましたので、売るのは無理でしょうが・・・
※ちなみに、製品としては存在していませんが、Linuxでも動いていますよ

このように、技術的には、かんたんに他のプラットホームへの展開が可能なのです
もちろん、今後、MAC-OSやWindows8も考えていますし、新しいモバイルプラットホームも楽しみで仕方ありません

1つ動けば、全タイトルが動くのと同じです
驚くほど簡単に、すべてのタイトルを最新のプラットホームへ対応することが可能となります
現在30本ほどリリースされていますが、これが100でも1000でも、同じ事です

これは、他の追随を許さない、Eveの絶対的な特徴です


そして、いつまでも・・・
時代が経ち、まわりは新しいプラットホームに移行し、あなたもその新しい機種に機種変したら、旧プラットホームのアプリケーションは互換性を失います
どろっぷすマーケットではEveシステムにより、いち早く最新のプラットホームに対応し、全てのソフトが既に並んでいます

あなたは、買い直すひつようがあるとわかると、うんざりするかもしれません
でも、買わなくてもいいんです、過去に遊んだソフトをすぐに全て遊びますか?
ローカルにすべて保存する方法は、既に古い考え方であり永遠に保存することなどできません

しかし、考え方を変えれば、解決は簡単です
いつでも購入できる手段がある時点で、あなたは全てのタイトルを所有しているのと同義と考えるのです
それはまるで、あなたの所有している全てのソフトを永遠に預かっている、データ預かりサービスのようなものです
購入費用は、最新のプラットホームでダウンロードする費用と考えてはどうでしょうか
とはいえ、価格の高いうちは、旧プラットホームで購入済の方に対する救済割引など、ユーザを裏切らない運営企画も必要になるでしょう

この概念がさらに進化すると、さらに安い金額で、一定期間遊べる、レンタル的なサービスも生まれてきます
そして、リモートプレイやブラウザ対応等、プラットホームの幅も広がります
その後は、PC版の入手不可能タイトルに対しては、権利者と交渉し広告モデルや無料配信など、新たなサービスに繋がります

低レベルからシミュレーションしているEveは、いかなるプラットホームでも100%原作再現が可能なのです

どこでも、いつでも
そして、いつまでも・・・

もしかしたら、100年後、とっくにYUKIが死んだあとにも、利用されているかもしれません
自分の素晴らしいと思った感動を、後世の人が、いつでも共感できるよう残しておきたいのです


以上


20130726 細かい誤字脱字を修正