XEON e5-2600v3シリーズes品入手メモ 2016/1/12 YUKI

・注意

これらはすべてYUKIの実際に作動させた、非常に少ないサンプル数の実験結果でしかありません
販売業者を一辺倒に悪と考えてはおらず、彼らのおかげで入手する事が出来ることも事実です
もちろん、ゴミをつかまされるのも、彼らのおかげですが・・・(滝汗

ここではあくまで、入手するユーザーも公平な知識をもって、間違いのないよう、製品を選択できるべきと考え、経験レポートを纏めています
デメリットの記載が明確にないのは、様々な思惑で商売している人がいる以上、残念なことにどのような市場でも存在します

最終的には、販売業者から正しい商品情報を得て、自身の正しい知識で判断しなければなりません

※拡散を求めます、URLは自由に転載していただき、皆間違いのない選択が出来れば幸いです


お急ぎの方用のまとめ



・es品とは

es品とは、CPU発売前に、マザーボーメーカーや雑誌編集者などに配布?される、正規品の前の試作品である
正規品と比較すると、価格は数分の一と激安だが、試作の時期などにより、ダメなものとよいものが混在している
しかし、型番などを見極めれば、判断することが出来る
ダメなものは安定しないので実用に耐えない(週一程度落ちる、特定の操作で落ちるなど)
しかし、短期間のベンチや固定負荷のみの数日程度では問題ないため、作動証拠のスクリーンショットはいくらでも取れる
実用作動や安定作動を求めるには、es品の中でも、正しいものを入手しなければならない
(とはいえ、ある程度は動くので、実用の必要がなく、安く多コアをエキサイティングしたい方は、気にする必要はないかもしれません)

・入手基準(製品同等に使用できる、まともなes品の)

CPU表面の刻印に、INTEL CONFIDENTIAL と書いてあること
S-SPECの二文字目がFかGのもの、QFQK QGEN等)、Eはダメ(QEYN等)
モデルナンバーがあること(CPU-Zで、E5 2690 V3 (ES)などと出ている)
TSXが、無効であること(TSXが灰色or記載なし)


前書き



YUKIはここ8年程度、開発のメインにノートPCを使っていました
そのころは、CPUのコアはデュアルコアやクアッドコア程度が一般的で、ノートPCとデスクトップPCでそれほど性能差がないくらいの感じでした
ノートでも、メモリが16G搭載でき、大容量のSSDと組み合わせれば、50万円程度で非常に快適な、開発環境が出来ました
ところが、開発を続けているうちに、急速に実用化されてきた仮想化技術の応用利用が進み、仮想化で開発環境を複数維持するようになっていきました
どんな案件を受注しても、サラのVMから業務をはじめ、保守中もそのVMを維持することで、環境汚染もなく、いつでも納品した時の環境そのものを復帰できます
これにより、納品後の保守の品質が劇的に向上しました
しかし、これがエスカレートしていくと、CPU、メモリ、HDD、いずれのリソースも、膨大に必要になります
そうこうしているうちに、ノートPCではどうしても力不足となってきました

はじめは、最新のクアッドコアのノートPCを購入するつもりでいましたが、せっかくなので、大パワーデスクトップをリモートデスクトップしてみようかと考えました
ほとんどの開発作業現場では、インターネットが使えますし、使えない場所でも、昨今、激安simなども流行ってきて、回線品質も上がって来たからです
注:業界によりますが、ネットが使えないというのはググるなという意味なので、開発主体で考えると使えないことはまず考えられません

最近デスクトップは作っていませんので、時間をかけて調べました
いろいろ悩んだ末、x99プラットホームに決めました
CPU以外のパーツは全て新品で入手し・・・
es品xeonを、入手しました

2015年夏の事でした

さて、前置きが長くなりましたが、こうして、es品というものと、始めての出会いをしたのです
これが地獄の釜の蓋を開く行為になろう事をまだ知りませんでした

この失敗談を、e5-2600v3シリーズのes品入手を検討している方に目を通して欲しいと思い纏めました


体験記



1 無知

久々のデスクトップの新規作成で、とても楽しく部品選びをしていました
いよいよCPUを選ぶ段階になり、es品という存在を知りました
それは、まさに衝撃でした
もともと、30万円〜50万円クラスのCPUなぞ、完全に眼中にありませんでしたが、なんと、10万円もしない値段で、ゴロゴロ転がっています!

「価格は数分の一で同じ作動とはなんという事か!!!!」

おおよそ理解したところ、試作品なので保証は一切無いそうですが、動いてしまえば発熱など若干条件が違えどもほぼ同じそうです
そもそも使用中にCPUが壊れることなどまずありませんので、それくらいの違いで価格が数分の一なら、試してみる価値大アリです

CPUは、当然es品のXEONに決定しました
型番が高性能そうで、価格が安く、写真が綺麗な新品を選びました
クロックが200MHz低いと説明がありましたが、もとより正規品より数分の一の価格であることを考えると「クロックが微妙に低いくらい大した問題ではない」と考えました
また、es品には世代があり、あまり古いと起動しないことも学びましたが、スクリーンショットも掲載されており、信頼が持てました

大きな期待と少しの不安、部品が届くのを今か今かと待ちわび、届くやいなや、意気揚々と楽しく組み立てに入りました
組み上げると一発で起動!
幸先良いですね!

Hyper V server 2012R2を入れて、vmにwin10を入れました
GBEも標準ドライバで使えていますし、最近のOSは本当に手間いらずですごいことです
いくらか作動確認を行ったのち、旧ノートのvmも全て移行、仕事の準備完了です

トラブルは一切ありません
es品を使用することによる全ての不安は払拭されました
段取り8割とはよく言ったものです、数十万円のCPUを数万円で入手できました
情報戦に事前に勝利していたのです
(んなわけがないことは暫く先にわかります・・・)

明日からが楽しみです



2 不具合?

初日と二日目は、色々調整をしていましたが、PC状態表示系のアプリをいじっているとOSごとフリーズすることがしばしばありました
具体的には、CoreTempやCPUZ等ですが、必ず落ちるのではなく、いろいろいじっているとたまに落ちます
「まぁ、HyperVは仮想化OSだし、ホストも仮想化対象だからHyperVが悲鳴を上げてるんかな?」
くらいに思っていました
とりあえず、以降は、それ系のアプリでの確認は避けて、通常業務に数日使っていましたが、もちろん正常に使えていました
ところが、4日目の朝出社すると、pcがhyperv serverごと落ちていました
とりあえず、再起動したところ普通に使えているのでスルーしていましたが、その後も、数日間隔でやはり落ちていました

「久々の自作だが、なんか嫌なことになったなぁ」

と思いつつ、メモリテストやその他諸々確認しましたが、問題はいっこうに見つかりません
騙し騙し一月ほど使っていましたが、いよいよ本格的に嫌になって来ました
トラブルシュートで調べ回ったところ、やはり怪しいのは、このCPUしかありません

とある日の午後、作業中に急に固まり、怒りは頂点に達しました
即、新品の5820kを買いに行きました!!

結果、なんと!!

完全に問題がなくなりました
勿論、CPU-Zでいじめてもフリーズなどしません
いくら怪しい操作をさせても、異常は生じません

仕事でも、いつも思いますが、「正常な状態を知らない」というのは、本当に恐ろしいことだと改めて感じました

結論 「es品ダメダメじゃん!!!!」



3 一時の平和

新品の5820kは、極めて正常でした

ド安定のまま3ヶ月程経過しましたが、ただの一度も異常はありませんでした

ところが、心に刻まれた呪いは日が経つごとに強くなっていきます
2コアのモバイルi7から比べれば、6コアというのはすさまじい進化です
64Gのメモリもすさまじく、VMをいくつ立てようが、リソースが不足することなどありえません
もちろん、DISKもノートPCのような制限はなく、何台でも、何テラでも、SSDが乗せられます
この驚異的なパワーアップをしたにもかかわらず、わだかまりは残り続けます

「あの過ぎた日の、圧倒的なパフォーマンスには遠く及ばない・・・」

本当に呪われているといっていいでしょう
始めからXEONなど知らないなら、確実にこれで充分でした
しかし、あのコンパイルの速さは忘れられない
(ノートで従来15分くらいかかっていましたが、XEONでは2分にまで高速化されました、5820kでも5分くらいなので劇的な高速化なのですが・・・)

再戦を決意!

しかし、今思えば、泣き寝入りをして退場するのが普通の人なのかもしれません・・・
自分のしつこさに呆れます



4 試行錯誤

正規品の中古と勘違いしてリマーク品を買ってしまったり、妙に安いBOXを買ったらなんとBOXごと偽物だったり、ひどい目を見ました
(2680v3が116,172円ですが、本当に偽物が実在しているようで、びっくりしました)
まぁ、いろいろ安く済まそうとして失敗を繰り返しますが、その辺は、バッサリ割愛して次に行きます(滝汗
どれも、先のと同じ感じで、まともに動かないだけなので・・・



5 真実

もはや、先に結論ですが、ネットで色々調べた結果、どうやら、買ってはいけないes品を買ってしまったようです
最も重要なのは、マザーボードとの相性です
さらに言えば、マザーボードが、そのCPUを正式にサポートしているかどうかにかかります

まずざっくり説明すると、intelプロセッサは、リリースまで大きくわけてA,B,Cと3段階あるようです
今回、E5v3シリーズでは、Cには、さらにC0とC1があります
(コア数違いで、M0/M1もありますが意味合いは同じなのでC0/C1に統一して説明します、また少数コア物はRという物もあるのですが、i7と共通なせいかルールが異なります、唯一R2というのが正常なものです)
また、呼び名も、es1、es2、qs、等と呼びかたがあるようですが、人により呼び名が違い、非常にあいまいなので呼び名は無視し、「es」に統一して理解したほうが無難です
決して、es>qsでもなければ、qs>esでもなく、いずれも製品でなく開発サンプルである事についてかわりはありません

このうち、C1は正式な製品となります
発売当初はもちろん、現行でも最新の製品は、C1です

また、非常にまれですが、最終のes品としては、C1のものもあるようです
それは、文字通り、esフラグのon/offのみの違いで、製品と完全に同等と思われます
実際に、2699には、C1のes品が存在するようですが、ほかの型番のものは不明です

次に、マザーボードのサポートですが、C1のみか、あるいは、C0/C1をサポートしたものが大半です
逆に、AやBをサポートしているものはほとんどないでしょう
もしかしたら、メーカーから特別に、対応BIOSが出ているかもしれませんが・・・

話を戻して、正式にサポートされていれば、マイクロコードが正しく当たるので、プロセッサは、健全に期待した修正通りに稼働します

******** マイクロコードとは **********
マイクロコードとは、CPU内蔵のプログラムです
CPUに不具合があった場合、BIOS起動時に、マイクロコードに修正パッチを入れて、CPUの不具合を修正します
また、CPU内蔵メモリは、電源OFFで消えてしまうので、起動時に毎回正しいマイクロコードをあてなければなりません
したがって、起動するたびに、CPUとマザーボードが正しい組み合わせでなければ、正しく作動しないのです
これが、BIOSによる、CPUのサポートなのです
****************************************

すなわち、マザーボードがC0を「サポートする」と言うのは、C0での「作動を保証する」と言うことに他なりません
もしもサポートされていないならば、マイクロコードは最新に保たれていないため、多かれ少なかれ、問題が生じます

ここで種明かしですが、最初に買った物は、なんとAでした

マザーボードは、C0/C1対応と書いてありました
すなわち、非対応のCPUを搭載したわけです
まったく起動しないならば、むしろ、どれだけ救われるかわかりません

ショップの説明では、「若干クロックが低いが、普通に使える」との事でしたが騙されたようです
「騙された」というのは、言葉が悪いですね
「普通に使える」の認識に差異があったようです

最終的に、この後C0のes品を入手しましたが、5820k同様に、どのようにいじめても正常に作動しています
Aのes品とは、まったく異なります
つまらない結末ですが、多くの人にこの事実を知っていただければ幸いです

******** C0/C1の違い **********
正しくマイクロコードが当たっている場合、ソフトウエア的な作動に差異はありません
しかし、C0とC1では、CPU本体のハードウエア的な不具合の数が異なる「はず」です
したがって、C0の方が、C1より、より多くのマイクロコードによる修正が必要となる「はず」です
結果、C0とC1では、パフォーマンスが異なる「かもしれません」
あるいは、C0とC1では、すでに、ワイヤードロジックの差異はなく、内蔵しているマイクロコードの差異だけかもしれません
この場合、C0でもC1でも、パッチが当たれば同等のマイクロコードと回路になりますので、作動は完全に同一となります
いずれにしろ真実は不明ですが、現時点では差異はほとんどなく、同じものとみなしても問題ないと思います
しかしながら、未来なにか新しい問題が見つかり、BIOSが更新されたとき、その時はC1のみサポートとなってしまう可能性は残ります
(ちなみに、C1でも、何十ものバグが含まれており、マイクロコードにより対策(機能無効化、正常に作動するようにするなど、色々)されています)
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附録 選び方



1 外観

ここでは、外観でわかる判断を二つ説明します

・INTEL CONFIDENTIAL と書いてあること

製品版の見た目にリマークされた物が大量に出回っています
刻印と中身が異なるという最悪な状態であり、es品以前に偽物です
これらは、リセールは絶望的なうえ、Aがリマーク元の場合は、実用もできません
(C0/C1がリマーク元なのであれば、リマークなどしていてほしくないです・・・)
また、本当のS-SPECもわかりませんので、最も選んではならないものです
もちろん「写真はイメージです・・・」ではなく、実際に写真の製品が届きます
amazonでも売っていますが、こちらの方が高いですが返品できるので良いかもしれません
というか、買ってはいけません(滝汗

・刻印のS-SPECで判断すること

よくCPUの表面を見ると、こんなコードが刻印されています
QGEN QFQK QEYN
重要なのは、二文字目であり、E,F,Gの順で、A,C0,C1となっています (実は必ずしもこうでは無く、Gでも、C0のものがあるようだ)
とりあえず、Eは絶対ダメであり、二文字目がFかGの物を選ぶべきです

このようなまとめサイトがありますので、面倒でない方は購入直前に、該当型番のページを見て、S-SPECが記載されているか確認したほうが良いです
http://www.cpu-world.com/CPUs/Xeon/TYPE-Xeon%20E5-2600%20v3.html



2 中身の見分け方

ここでは、CPUZなどのアプリからわかる判断を二つ説明します

・製品名があること

E5 2690 V3 (ES)などと出ていれば良いでしょう
古いes品は、2.4GHZ Genuine Intel CPUなどと出ていて、モデルナンバーが無いのが特徴です
「xxx相当品」等という説明文句も罠です、S-SPECを正しく確認しましょう
また「クロックが100MHz低いですが」等と説明もありますが、これも罠です

もしも本当に正規品と同じ作動で、クロックが100MHz低いだけであれば、それは全く問題ではなく非常に優れた製品です

しかし現実は異なり、「規定クロックが100MHz低く、TBクロックはさらに数百MHZ低く、さらに、Aなので信頼性は高くない」と言うのが正しい説明でしょう
(さらに厳密にいえば、Aはモデルナンバーがなくどのモデルでもない、製品ラインナップが整理される以前の本当に初期のes品です)

また、もちろんCPUZでもわかりますが、CINEBENCHのスコアバーにもモデル名は書かれていますので確認しましょう

・TSXを見る

実は、TSXという機能がE5v3シリーズで新規実装されました

しかし、出荷後に不具合が発覚し、マイクロコードにより、機能が無効に書き換えられることになりました
目玉の新機能ですが、使えないという、せつなさ・・・

皮肉にも、これがes品判断の良い材料となりました

逆説すると、TSX有効な場合は、マイクロコードが最新では無いのでダメということです
先の「真実」で語りましたが、正しいマイクロコードが当たっていないと、実際にTSXが有効になっています
もちろん、TSXは不具合で正常に作動しません(だから出荷後にマイクロコードで殺されたわけです)
あとは、いわずもがなです


結論



es品の判断はコツがわかるまで難しかったですが、どの程度で「使える」というかは、個人差があるようです

すくなくとも、高パフォーマンスやECCメモリを生かした、ヴァーチャルサーバや、再エンコードに強い録画配信サーバなど、365d24h稼働を考える場合、一点の曇りもないものでなければなりません
もちろん製品が望ましいですが30万50万というべらぼうな金額です

今回は、完全な攻略法が見つかった「つもりな」ので、e5v3世代に限っては、安全に入手できる「はず」です(滝汗
実際に、10万円程度のes品で、30万円程度の正式な製品と全く同等の信頼性で「ここ数か月、いまのところ」使用できています

まぁ、そういう用途に使うなら、製品を買えと言いたいところですが(殴
(まして仕事で使うとか・・・)

さいごに、YUKIはそれこそ正規品が購入できるほどの多くのお金をかけました
さらにわをかけて、何個も買えるほどの多くの時間もかけました
しかし、今回得た人柱としての経験とノウハウは満足度は高く、問題切り分けや判断基準の確立法など仕事に応用できる財産となっています
もちろん、リアルな体験は酒の肴にもなります(笑

真の結論としては、自作歴は長くても最初のes品は運でしかないと思っています
多くの方が、このサイトを訪れる前に入手してしまうでしょう
一発目で製品同等品を引いた人は、es品に良い印象を抱きますが、逆にダメなes品を引いた人はアンチ化するでしょう
安い方を選べば悪い方に流れます、しかし、同等に見える商品でわざわざ高い方を選択する呆けはいません
結果、知識がなければ、必ず外れを必ず引いてしまう、悪質なくじ引きなのです
YUKIのように採算割れまでして執念深く粘着する輩はまずいないでしょうし・・・(笑

ともあれ、SSDの黎明期もそうでしたが、久々にエキサイティングさせてくれたネタでした


2016/1/13 加筆/誤記修正

8コア以下はYUKIは試していません(多コア以外興味がなかったので、完全にスルーしていました)
今回の攻略法は、多数コアのC0/C1およびM0/M1にのみ適応できるのかもしれないですね
(しいて言えば、正規品の5820kがRでしたが、R系のES版は試していません)
確かにここを見ると、R0/R1はサポートに含まれておらず、R2のみ記載されていますので、ご注意ください
http://www.asrock.com/mb/Intel/X99%20OC%20Formula/index.jp.asp?cat=CPU


追伸

でも、e5v4が出たら、すぐに製品版に入れ替えるかもしれない
何個もCPU余るけど、どうしよ・・・(滝汗

以上